必見!本物のビジネスパーソンが注意すべきビジネス英会話の難しさ

カフェで勉強する男女

ビジネスにおける英会話の重要性は民間企業、政府機関、NGOと区別なく海外展開を広げていく兆候がますます顕著になってきました。それに伴い重要になってくるのが「海外で活躍できるビジネス人材の育成」です。

企業も政府も国内での需要が大きく見込めない今、海外転勤、海外研修制度、留学補助、留学経験者の積極採用など海外での市場を取り込み、利益を増やしていこうと躍起になっています。

 

そこで今回は今後、海外転勤が決まり、商談やプレゼンを控えるビジネスマンに向けて、東京工業大学の重光氏によって2017年に行われたインド人と日本人のビジネスパーソンの聞き取り調査研究結果をもとに学術研究で実証されている『異文化とのコミュニケーション』に焦点を当ててご紹介します。

 

現状の日本人とインド人の英語教育環境について

今後海外転勤を控え、商談やプレゼンなどコミュニケーションの場で必ずと言っていいほど関わるであろう外国人がインド人です。

彼らの欧米諸国での活躍も有名であり、間違いなくあなたもインド人と関わる機会が多くなるはずです。

 

彼らとのコミュニケーションに備え、そもそも『ビジネス英語ができれば海外での英会話はうまくいく』という考えに疑問を投げかけ、学術論文の研究結果をもとに解説していきたいと思います。

 

ELFとは?

英語は知ってのとおり、全世界で多くの人が共通言語として使っています。

母国語を英語としない人同士が会話する際に共通言語として話す英語を『ELF(English as a lingua franca)』と言います。

 

確かに日本人、インド人や中国人など母国語が英語でない人間同士で話す際は「英語」で話すことが圧倒的に多いですよね。

英語を使うことで海外での仕事が有意義に進めることができるのは言うまでもありませんし、海外の留学生などは圧倒的に英語を母国語とする国々に行っています。

国際化が進展する中で海外の市場を取り込もうとする会社からすれば『英語が話せるビジネスマン』は必要不可欠なのです。

 

重光氏の研究によるとインド人と日本人両者の独特の文化で構築された思考方法やビジネスに関する考え方の違いから、英語ができる、できない以前に「コミュニケーション自体」に対する問題点が数々と提起されました。

 

コミュニケーションの問題点とは?

同調査によるとELFが話される環境下ではそれぞれの発育してきた社会環境が無意識のうちに会話の“スタイル”が成熟すると考えられます。

それらは英語の聞き取り能力、発音、文法の間違いよりも「価値観」「ターン・テーキング・スタイル」「談話の組み立て」の違いが大きく影響すると言われています。

これらは母国語の会話においても普段から無意識のうちに行われていることで、『プロトタイプ(規範)』であると表現できます。

 

『価値観』は発言の内容や考え方から起因するもので、コミュニケーションの中で自分にとっては当たり前のことだが、相手にとっては当たり前ではないことを言い合うという問題が発生します。

 

『ターン・テーキング・スタイル』は会話の速度や話している途中の割り込みなどいわゆる会話の間の“感覚”と言えます。

会話の割り込みは基本的にはNGな日本人には気分の悪いことでも相手にとっては当たり前であるというコミュニケーションのズレが生じます。

 

『談話の組み立て』とはどのように会話を組み立てているのかを考える方法です。

結論から先に話して理由は後から、それとは逆に理由から話して最後に結論をいう話し方などそれぞれの普段の会話スタイルによって対話にズレが生じる問題もあります。

 

これらは英語の得手・不得手に関係なく、文化が異なることから発生するコミュニケーションの問題であると言えます。

このことは2003年に行われたFitsGeraldの実験からも明らかになっています。

 

異文化からくるビジネスシーンでのミス・コミュニケーションの発生

摩天楼を背に会話する男女

では海外転勤を控えるビジネスパーソンはどのようなミス・コミュニケーションに遭遇するのかをインド人と日本人の英語教育環境の違いからそれぞれ述べます。

インド人の英語教育環境について

インドでは公用語としてヒンズー語と英語が認められています。しかし、英語はあくまで準公用語として扱われています。

日本人がインド人と接触する機会は主にお互いの国以外の国もしくは都心部に限られてきます。

このような状況下では「インド人は英語を喋る」と勘違いする日本人もいますが、英語を話せるインド人は実は限られているのです。

 

インドに公用語として英語が入ったきっかけは1600年の東インド会社であり、英語の普及はもっと後になります。

その後、一部の富裕層からその子供に向けられて英語のみの教育を受けさせるなど差別化がますます進んでいるのが現状でもあります。

 

コミュニケーションスタイルは帰納的な方法がよく用いられ、根拠から話す傾向にあります。

またFitsGerald(2003)によると話の表現方法は冗長的なもので同じ表現、言い回しを多く用いる傾向にあり、端的で演繹的な話し方を好む人々を苛立たせてしまうこともあるようです。

 

日本人の英語教育環境について

一方日本では英語はあくまで第二言語の扱いであり、現在でこそ多くの人々が英語を小学校時から学んでいますが、その英語教育もいまだに判読中心の学習が多くなっています。

多くの義務教育課程での英語教育が「読む」「書く」を中心に取り扱っており、「聞く」「話す」の部分は査定課程で判定が困難なためか、評価指数には大きく入ってきていないところもあります。

 

また、受験重視の流れからか普段使わないような表現方法や文法なども暗記して、受験対策という名目で勉強に臨むために「使う英会話」にはなっていません。

実際にどのように抑揚をつけて会話するのかといった訓練もあまりなされていないような状況です。

 

しかし、日本語に関してだけを見れば演繹的な話し方が好まれると言えます。

また会話の流れとして相手の発言中に割り込むことは基本的にはマナー違反と考えられています。

 

調査結果から考えられるミス・コミュニケーション

それでは重光氏による調査結果からビジネスシーンにおけるインド人と日本人の異文化コミュニケーションについてお話します。

以下が同調査の中で行われたインド人と日本人のビジネスに関する座談会後の聞き取り調査結果表です。

 

調査結果からは、まずお互いの英語がわかにくいことが挙げられ、「価値観」の面からはビジネスにおける階級に関して認識の違い、また礼儀に関しての意識の違いなどが挙げられました。

実際にインド人は発言中への割り込みはある程度認められますが、日本ではマナー違反となることも議論されました。

「ターン・テーキング・スタイル」の面ではインド人は話す速度が速く、日本人は逆に遅いと両者で食い違いが起き、「談話の組み立て」では日本人の指示の根拠を示す程度が甘いと意見がありました。

 

このように二国間だけの会話であっても多くのミス・コミュニケーションが発生しており、ビジネスにおいて円滑なコミュニケーションを「ただ単に英語を学ぶ」だけではビジネス英会話としては不足していると考えられます。

 

海外転勤において適切なコミュニケーションを行うには

糸電話に向かって話す女性

ここまでで異文化コミュニケーションにおける英会話の困難さは理解していただけたと思います。

問題はいかにこれらを乗り越えて海外転勤に備えて適切なコミュニケーションを成立させるかが重要です。

そのために以下の方法で日頃の英会話の勉強を意識づけていきましょう。

 

一つの方法として、「発音と話す速度の向上」です。

インド人だけでなく、他のELFを扱う外国人は海外の滑らかな英語を見て学んでおり、それに馴染みがあります。日本人の一つ一つを頭で整理して発音していては相手にはわかりにくいことがあるかもしれません。

滑らかな英語に一歩でも近づけるように訓練していきましょう。

 

また、「論理的な会話と展開、質問に関して論拠」をしっかりと持って特にビジネスシーンでは論弁しましょう。

理由を言わなくてもわかるだろう、というような考えは捨てて、相手にしっかりと指示の根拠を伝えましょう。

 

そして最後に重要なことが「異文化への理解」です。

今回はインド人をあげましたが、中国人ではどうでしょう?アフリカの国々の人ではどうでしょう?

自分のビジネス英会話は相手がいて初めて成り立ちます。実際に海外転勤が決まれば、そこで働く人や同僚の情報をできるだけ詳細に集めてコミュニケーションを円滑に取れるように努力していきましょう。

 

<参考>

重光 由加 (2018). インドの言語環境とELF 使用場面から見る英語コミュニケーション能力―インド人と日本人のビジネス・パーソンへの座談会から―, 東京工芸大学工学部紀要. 人文・社会編, 41(2),26-35.

URL: https://kougei.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1984&item_no=1&page_id=13&block_id=21

 

FitzGerald, H. (2003). How different are we? Spoken discourse in intercultural community. Multilingual matters. [村田泰美(監訳)重光由加・大谷麻美・大塚容子(訳)(2010)『文化と会話スタイル―多文化社会・オーストラリアに見る異文化間コミュニケーション』ひつじ書房]

URL:

http://www.multilingual-matters.com/display.asp?K=9781853596193

 

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必見!本物のビジネスパーソンが注意すべきビジネス英会話の難しさ
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必見!本物のビジネスパーソンが注意すべきビジネス英会話の難しさ
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近年、ビジネスにおける英会話の重要性がよりいっそう高まっています。その反面「ビジネス英語は難しい」と感じている人も多く存在します。その原因のひとつとして、文化の違いにより生まれるミスコミュニケーションが挙げられます。ここではインド人との文化の違いを例に、ミスコミュニケーションを回避する方法について探っていきます。
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