好きな映画を見て英語力アップ!映画の効果的な活用法
「どのような方法で英語を勉強するか」という点は、常に英語学習者の悩みの種です。
「好きな映画やドラマを見るだけで英語力がアップすればなぁ・・・」映画好きやドラマ好きなら、誰しもこのような願望を抱くものですよね。
しかし、「映画」を見ることは本当に英語力アップにつながるのでしょうか。
今回は、英語教育を専門とされている、広島国際大学教授の角山照彦氏の研究(2008)などを根拠として、映画を使った本当に効果のある勉強方法をご紹介していきます。
英語学習に映画を使うメリット
まず、英語学習に映画を使うメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
①学習意欲が向上する
自分の大好きな映画やドラマを英語の勉強に使えるなんて、考えただけでも心が踊りませんか?
実は、映画を使うことによって学習意欲が向上することは、数々の研究が証明しています。
例えば、英語教育の専門家である角山照彦氏が1965年に発表した研究を参照すると、関連する5つの先行研究において「映画が学習意欲の向上につながる」という結果が提出されたといいます(p1)。
つまり、英語が苦手な人、もしくは自分に合った勉強の方法がわからないという人にとって、映画はモチベーションを維持するための最強のツールであると言えるでしょう。
②自然で美しい英語に触れられる
当たり前のことですが、アメリカやイギリスで製作される映画のほとんどは、英語を用いて作られています。
2018年に発表された鹿児島女子短期大学の吉村圭氏の論文においては、映画を教材として使うメリットについて「最も身近で容易にオーセンティックな英語と触れることができる」ことが述べられています。
つまり、
・自然なスピードの英語
・自然で美しいイントネーションの英語
・日常的な場面の英語
映画を用いると、以上のような英語を学ぶことが可能であると言えます。
周囲に日本人しかいない環境において意図的に美しい英語を聞く機会を作ることは、英語力向上において非常に有効です。
③文字情報だけでなく、視覚情報を活用できる
また、映画が単に文字情報を追うものではなく、「見る」メディアであることも大きな強みです。
脳科学を用いた勉強法の権威である、トニーブザン氏が2006年に発表した書籍の中では、
・右脳は視覚的な情報
・左脳は文字など言葉に関する情報
を主に扱うことが提示されています(p12)。
つまり、本などの文字情報のみを用いた勉強方法では、主に左脳を用いるため、脳全体が活性化されません。これでは学習効率が落ちてしまいます。
しかし、映画を用いて学習する際には、
・視覚的な刺激(右脳への刺激)
・文字情報による刺激(左脳への刺激)
が同時に与えられます。
すなわち、映画を英語学習に用いることによって脳全体が活性化され、記憶力の向上につながるというメリットがあります。
以上、映画を用いることのメリットをまとめると以下の3点になります。
①学習意欲が向上する
②自然で美しい英語に触れられる
③文字情報だけでなく、視覚情報を活用できる
具体的な勉強方法
上述したように、映画を用いて英語を勉強するメリットはこれまでの研究成果からも明らかです。
しかし、実際に映画を勉強に使おうと考えた時に、こんな不安を感じませんか?
「1本2時間や3時間の映画に含まれる英語を全部勉強するなんて、本当にできるの・・・?」
まず、2時間の映画を見た際にどの程度の英語を聞くことになるのか、少し計算してみましょう。
おおよその目安ですが、1分間に人が話す英語は100〜150語程度であると言われています。
つまり、単純計算すれば、2時間の映画なら、少なくとも「100語×120分=12000語」の言葉が含まれていることになります。
英語が苦手な人にとってはもちろん、英語学習が得意だという人にとっても、「12000語」という数字は聞いただけでもめまいがするような数なのではないでしょうか。
直感的にわかるように、「12000語を一度に学習するのが効率的な勉強方法である」とはとても言えません。
つまり、映画を用いて英語を勉強する際の最大のポイントは「映画一本をまるまる使うのではなく、場面を絞って学習する」ことにあると言えます。
以下においては、このようなポイントを踏まえた学習法を4ステップに分けて見ていきましょう。
①映画の選定
まず、映画の選定において重要なのは、
・自分の好きな映画であること
・スクリプトが存在すること
・日常生活の場面を多く含んでいること
以上3点です。
「スクリプト」というのは、映画の英語を文字起こししたものです。
手元にスクリプトを印刷しておけば単語を調べた際などに書き込みができるため、効率に英語学習を進めることができます。
スクリプトの探し方に関しては後述します。
また、日常生活の多く含まれる映画を選択することで、一般的な言い回しや単語を多く覚えることができるので、今後の英語学習の土台を作ることができます。
②スクリプトの検索
映画を選定した後は、スクリプトを探す作業に移ります。方法としては以下の3点があります。
・Googleに「映画のタイトル+script」というキーワードを入力して検索する
・「Movie Scripts」(https://www.springfieldspringfield.co.uk/movie_scripts.php)等のサイトで検索する
・英語学習用の書籍としてスクリプトが発売されているかどうか、Amazon等で検索する
スクリプトが上記の方法で見つからない場合は、DVDの字幕機能で英語を表示できるものもあるので、それを活用するのもひとつの手段です。
ぜひご自分に合った方法を試してくださいね。
③場面の選定
勉強する映画が決まったら、「次はどの場面を学習するか」という点を考えていきます。
おすすめとしては、やはり「よく使いそうなフレーズのある場面」を特定することが重要です。
そのために、まずは字幕付きで映画を鑑賞して、自分が覚えたいフレーズが密集している場面をある程度絞り込んでおきましょう。
④まずは3分間を重点的に
場面がある程度特定できたら、次は「3分間ずつの練習」を行っていきます。
3分間と聞いて、
「せっかくの長編映画なのに、3分しか勉強しないって短すぎない・・・?」
と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、今回の目的は「映画を鑑賞すること」ではなく、あくまで「映画を使って勉強すること」です。
例えば、先述の角山(2008:pp131-132)の研究においても、5分以内の場面を繰り返し練習することが学習効果の高い方法として勧められています。
具体的な手順としては、3~5分の場面を選定した後、
⑴該当部分のスクリプトを見ながら、単語や文法の意味を調べる
⑵実際の英語の場面を視聴する
⑶声に出して読んでみる
というサイクルがおすすめです。事前に単語や文法を調べるという「下準備」の作業を挟むことによって、理解力が格段に向上します。
以上、このようなサイクルを反復することで良質なインプットを行うことができ、結果的に英語力が向上していきます。
まとめ
今回は、映画を用いた学習法についてご紹介しました。
ポイントは以下の通りです。
・映画は、学習意欲を向上させるという点で英語の勉強方法として有効
・文字情報だけではなく、視覚情報を活用することで脳全体が活性化される
・映画を選択する際は、日常的な場面を多く含むものを選ぶこと
・映画一本を教材として使うのではなく、まずは3分程度の場面を完璧に
ここまで「映画を用いた学習法が英語の勉強方法として非常に優れている」という点について述べてきましたが、「これさえやれば英語が確実にできるようになる!」という魔法のような勉強法は存在しません。
大切なのは、
・自分自身の弱点を特定する
・自分に合った、科学的に根拠のある学習法を選択する
・それを実践する
というサイクルを地道に積み重ねていくことです。
ぜひこの記事を参考に、ご自分に合った勉強のスタイルを身につけていってくださいね。
参考文献・URL
・角山照彦(2008)『映画を教材とした英語教育に関する研究』ふくろう出版
・トニーブザン著,神田昌典訳(2006)『マインドマップ FOR KIDS 勉強が楽しくなるノート術』ダイヤモンド社
・吉村圭(2018) 「児童教育を専攻する学生を対象とした英語指導における映画の活用」『鹿児島女子短期大学紀要 Bulletin of Kagoshima Women’s College』 55, pp51-59,
鹿児島女子短期大学
・Movie Scripts(2019年4月3日アクセス)
https://www.springfieldspringfield.co.uk/movie_scripts.php

学びのブログ編集部
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