本当の実力を手に入れる!英文精読の効果とポイント

コーヒーを飲みながら本を読む男性

何事もスピードが要求される現代社会において、時間を要さずに文章の大意をつかむ「速読」は非常に魅力的に感じられます。

 

「とにかく多く、そして速く読めばネイティブのような読解スキルが身につく!」

このような謳い文句に心を惹かれる方は多いのではないでしょうか。

 

しかし、美しいバラには棘があるように、甘い言葉には危険がつきものです。

「速く読む」だけでは本当の英語力は絶対に身につきません。

英語学習においては「速く読む」だけではなく、「深く読む」ことも同じぐらい重要です。

 

そこで、今回は山口大学教授の岩中貴裕氏の論文(2013年)などを根拠として、第二言語習得論の観点から、本当に英語学習に効果のある「精読」の方法をご紹介します。

 

「精読」とは?

本を読む手元とティーカップ

ここでは、まず「精読」の定義について述べていきます。

 

『日本国語大辞典(Japan Knowledge版)』によると、「精読」とは

 

・くわしく読むこと

・こまかな点まで注意深く読むこと

 

を指します。

 

すなわち、「精読」は、速さを重視する「速読」や、量を重視する「多読」とは異なった目的を持つ読み方であると言えます。

 

どうして「精読」を行う必要があるのか?

とは言え、「くわしく読む」「注意深く読む」という言葉を目にして、「面倒だな」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、英語初学者が「読むだけ」で英語力を向上させることは、至難の技です。

 

例えば、2013年に発表された岩中貴裕氏の論文には、「どれだけ多くの英語をインプットしたとしても、それを十分に理解して記憶しなければアウトプットにはつながらない」という旨の指摘があります(p83)。

 

つまり、質の高い状態で英文をインプットする(=精読を行う)ことが英語力の向上には必須です。

特に初学者の段階で精読を行うことは、今後の英語学習の土台を固めるという点で非常に重要であると言えます。

 

「精読」を行うための3つのポイント

それでは、どのような点に気をつけて精読を進めれば効果が得られるのでしょうか。

ここでは、実際に精読を行う際のポイントを3点に分けてご紹介します。

 

5000語程度の単語力を身につける

まず、英語を読むためには基盤となる単語力が必要です。

とはいえ、「どのぐらい単語を覚えればいいの?」と疑問に思った方もいらっしゃる方もいると思います。

 

そこで、まずは英単語を5000語覚えることを目標にして勉強しましょう。

というのは、1996年に発表された長谷川潔氏の文献において、5000語の単語を覚えれば専門書以外の文献の75%の内容を理解できることが提示されているからです(p32)。

これは竹蓋幸生氏の調査結果に基づいたデータですが、新聞や雑誌など延べ1317642語を対象として収集した結果であるため、信頼性が高いと言えます。

 

5000語というと少しハードルが高く感じられますが、一般的な大学受験に必要な単語数と同じぐらいの単語数であるため、実はそれほど多くはありません。

なお、竹蓋氏が選出した5000語は『ニュープロシード英和辞典』に掲載されていますので、興味のある方は図書館などで探してみてくださいね。

 

②わからない箇所を飛ばして読まない

 英文を読む際にわからない箇所があった場合、ついそこを飛ばして読んでしまうことがあります。

しかし、「わからない箇所を飛ばして読まない」ことは、英語力向上を目指す上で非常に重要です。

 

2013年に発表された岩中氏の論文においては、英語専攻でない104名の大学1年生を対象とし、「どのような読み方をする学生の英語力が向上するか」という点を検討しています。

その結果、「わからない箇所を飛ばして読まない」学生のグループの方が、他の学生よりも英語力の向上が見られたと言います(p83)。

 

また、同論文においては、インプットした英語を定着させ、なおかつアウトプットにつなげていくために

 

・英文の意味内容の十分な理解

・言語形式の使われ方に関する理解

 

が必要であることが提示されています(p83,和泉(2011)の引用箇所)。

 

つまり、英語力を向上させていくためには、わからない箇所があった場合、その都度英語の辞書や文法書を参照し、十分に理解することが必要であると言えます。

 

③一度精読した文章を、何度も反復して読む

また、一度読んだらそれで終わるのではなく、「一度精読した文章を、何度も繰り返して読む」ことも重要です。

 

2012年に発表された、荻野勝氏(岡山大学)の論文においては、一度精読した文章を何度も反復することによって、「英文を英文のまま理解できるようになる」効果があることが指摘されています(p48)。

英語脳ができていない段階では、「英文を読む→日本語に翻訳して考える」というステップを挟むため、読むのに時間がかかってしまいます。

 

しかし、精読を行った後、何度も反復してその文章を読むことによって「読解のための英語脳」が作られていきます。

つまり、英文を英文のまま理解できるようになり、読むスピードが向上するのです。

 

そして、結果として速読や多読が可能になっていくという仕組みです。

このように、精読は英文読解の土台を作るという点で非常に重要な工程であると言えます。

 

以上、ここでは

 

①5000語程度の単語力を身につける

②わからない箇所を飛ばして読まない

③一度精読した文章を、何度も反復して読む

 

という3つのポイントをご紹介しました。

 

まとめ

電球と黒板に描かれた吹き出し

ここまで、精読の効果とポイントについてご紹介してきました。

 

今回の内容をまとめると、

 

・精読は、英語読解の基礎力を鍛えるという意味で非常に効果的である

・読む前の下準備として、英単語を5000語程度覚えておくことが必要

・実際に精読を行う際には、「わからない箇所を飛ばして読まない」「一度読み終えた後も反復して読み返す」ことを心がける

 

以上3点になります。

 

さて、ここまで効果的な英語読解の方法として「精読」をご紹介してきましたが、根本的な英語力を伸ばしていく上で、共通して重要なことは「現在の自分の課題を特定する」ことです。

 

というのは、結局「自分の苦手を克服する」ことが英語力を伸ばす最短ルートだからです。

そのためには自分の「苦手」を分析し、それに対する効果的な学習法を知っていく必要があります。

 

ぜひこの記事を参考にしながら、ご自分に合った勉強法を探してみてくださいね。

 

参考文献・Webサイト

・岩中貴裕(2013)「英語学習における多読と精読の役割」『Persica』40,pp77-88,岡山英文学会

・荻野勝(2012)「大学英語授業における読解能力向上に関する一考察―多読・精読の有効性と課題点をめぐって―」『岡山大学教師教育開発センター紀要』2,pp43-49,岡山大学教師教育開発センター

』23(2), pp105-121,名古屋大学

・長谷川潔(1996)『「超」英語勉強術 : インターネット時代の読解力強化法』ごま書房

・Japan Knowledge(最終閲覧日:2019年4月2日)

https://japanknowledge.com/

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本当の実力を手に入れる!英文精読の効果とポイント
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本当の実力を手に入れる!英文精読の効果とポイント
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近年注目を集めている速読は、英語の読解スキルを高めるのに有効と言われています。しかし速読の反対語である「精読」もまた、英語のスキルを高めるのに有効な方法なのはご存知でしょうか。ここでは英語学習における精読の効果と、英語のスキルを高められる精読のポイントについて紹介します。
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