これでスピーキングの不安解消?スピーキングの不安解消の近道とは?
おそらく、英語を勉強する人の多くがスピーキングに対する不安を抱えているのではないでしょうか。
この記事では、そんな不安を抱えている方に向け、ブルネイ大学のチームが発表した不安を解消する方法を紹介したいと思います。
リーディング、ライティング、リスニングは何とか出来るようになってきたけど、スピーキングは一筋縄ではいかないという人も多いと思います。
瞬時に相手の言っていることを聞いて理解して、適切な単語を選んで文を作らないと、といったことを考えているうちに、話すタイミングを逃してしまうという経験をしたことがある人は少なくないでしょう。
ぜひここで、スピーキングにおける心構えを身に付けましょう。
研究内容
ここで紹介するのは中国の大学生を対象にした、スピーキング時の不安をどのように対処しているかという研究です。
中国では8~9才から英語教育が始まり、大学卒業までの10年以上の間、英語を勉強し続けます。
それにもかかわらず、とりわけスピーキングについては“満足のいく状態ではない”とされています。
これには実際の指導と望まれる結果に大きな溝があるわけですが、外国語を話す時の不安が主要な理由でないかと言われています。
そこでこの研究では、中国人大学生の英語学習者を対象にスピーキング時の不安をどのように対処しているか、そしてこの効果の検証を目的としました。
実験内容
実験には英語を専攻していない大学生と教員が参加しました。
大学生は二つの大学から参加しました。大学生の年齢は17~23歳、性別は男性168名、女性134名の合計302名が参加しました。
教員は全員中国人で、年齢は23~50歳の合計30名が参加しました。
実験は二段階に分けられ行われました。
まず初めに、アンケート調査とインタビューが行われました。
アンケート調査では不安度を計るため、インタビューでは不安を対処する方法を確認するため行われました。
次に、アンケート調査を基に不安度の高い学習者を60人選び、その中から30人を不安を解消するための方法に基づいた指導受ける実験群とし、残りの30人は普通の授業を受ける統制群としました。
実験中、統制群の学生と教員には、不安解消のための32の方法が載ったリストが渡され、15日おきに、それらの方法を使えているか確認させました。
そして、4か月後再び第一段階でした同じアンケート調査を60人の学生にしてもらい、その方法の効果の検証を行いました。
実験の結果、再び行ったアンケート調査で統制群のアンケート調査のスコアが統計的に有意に減少し、スピーキング時の不安を取り除くための方法が機能していたことが明らかとなりました。
また、インタビューを通して、学習者が不安と上手く向き合っていたことも明らかになりました。
では実際の方法はどんなもの?
実際には、この研究では32の方法が明らかとなりました。
それらは大きく3つのグループに分類できます。
教員に関係するものが17つ、教員と学習者に関係するものが5つ、学習者に関係するものが10個確認されました。
教員に関する方法
- ユーモアであること
- 我慢強くあること
- 励ますこと
- ミスを間接的に直す
- 少人数のグループに学習者をまとめる
- 話す前に例を提示する
- 知識を持っておく
- 学習者の外国語の興味を促す
- 様々な教授法を試す
- 快活であること
- 学習環境を整えること
- 積極的であること
- 社交的であること
- 多才であること
- 最終評価から学習者の教室内の活動を外すこと
- 英語母語話者の教授法を学ぶこと
- 寛大であること
教員と学習者に関する方法です。
- フレンドリーな環境で外国語を話す
- 外国語を話す時、正確性にこだわらない
- ゲームをする
- リラックスできるようなことを行う
- 文化の差異に敏感になる
続いて、学習者に関する方法です。
- ミスをすることは外国語学習の一部であり誰しもがすることであること
- 補助的なグループや活動に参加する
- 他の学習者とスピーキング時の不安について話す
- 外国語をたくさん使う
- 授業前に準備する
- ボディランゲージを使う
- 不安に直結するものを乗り越える
- 勇気を持って外国語を話す
- 簡単な単語を使う
- 外国語でTVやネットを使う
論文では教室内の実験ということもあり、教員と学習者に関する方法により焦点が当たっていました。
教員がユーモアにあふれていることは、学習者にとって非常に重要だと述べています。
学習者にとって、外国語を学ぶことそれ自体がとてもストレスのかかることであるため、学習者が外国語を話したくなるようなリラックスした雰囲気を教員が作ることが重要だと述べています。
教員のユーモアセンスに加えて、教員には我慢強さも学習者の不安を取り除くのに必要だと述べています。
学習者がミスをするのは避けられないことであり、また学習者が思うように話すことができない時に、無理やり発言させたりすることで結果的に学習者のやる気をそぐことは避けるべきだと述べています。
確かに、ピリピリした雰囲気で勉強しても居心地が悪いですし、ミスをするたびに嫌な顔されたら嫌ですよね?
学習者自身で出来ること
先ほどは教員と学習者との関係についてみましたが、ここでは学習者自身で出来ることを考えていきましょう。
もう一度、ここで学習者に関係する方法を紹介します。
- ミスをすることは外国語学習の一部であり誰しもがすることであること
- 補助的なグループや活動に参加する
- 他の学習者とスピーキング時の不安について話す
- 外国語をたくさん使う
- 授業前に準備する
- ボディランゲージを使う
- 不安に直結するものを乗り越える
- 勇気を持って外国語を話す
- 簡単な単語を使う
- 外国語でTVやネットを使う
「ミスをすることは誰でもあることだから、どんどん話そう!」
これは、おそらくみなさんが外国語を学習してきた中で、一度は耳にしたことがある言葉ではないかと思います。
頭で分かっていてもなかなか難しいですが、実際のところ、英語を使う頻度を増やすことで、それほど頭を使わなくても自然と英語を話せるようになるでしょう。
頻度の繋がりで言えば、外国語でTVやネットを使うというのも重要です。
日本に住んでいて日常生活で外国語に触れている時間って少ないですよね?当たり前の話ではありますが、母語話者は四六時中、あなたが学んでいる言語に触れているわけで、そうでは無い人との間に圧倒的な差が生まれるわけです。
その差を埋めるには、ネットやTVを活用するのがおすすめです。「Youtube動画は英語学習にどんな効果が?」でも紹介しましたが、Youtubeを使うのもいいですし、海外の記事を読むのもいいでしょう。
そうやって自ら外国語に触れる時間を作って、頻度を増やしていき、慣れることが大事です。
また、他の学習者に不安に思っていることを話すとありますがこれも重要なポイントです。
他の人に今自分がどういう状態で、何が出来て、何が出来ていないか言語化して話すことで自分の状態を客観的に見ることができます。
相手に話すことで、相手も同じ悩みを抱えているかもしれません。そうなった場合、悩んでいるのは自分だけではないと安心感を抱いたり、もしかしたら相手が何かその悩みに対して助言をくれるかもしれません。
一人でモヤモヤしているより、他人に話して今自分がどういう状態か知っておくことは重要でしょう。
今、自分がどういう状態か分からなければ、対策を立てるのも難しいですしね。
まとめ
本日は、外国語を話す時の不安をどのように対処しているか中国で行われた研究を基に紹介しました。
研究結果を見ると、不安に対処するためには学習者と教員が協調することが重要だということが分かります。
学習者自身も自分がどういう状態で悩んでいるのか把握し、一緒に学んでいる仲間と悩みを共有し、自ら外国語に触れ使用する機会を作り、乗り越えていくのが大事なのではないでしょうか。
また、ここまで英語学習についてご紹介してきましたが、つい『これをやればできるようになる!』という方法が欲しくなりますが、なかなかそうはいきません。
理由は、こうした方法はあくまで「取り組み方」「対処療法」を提供しているに過ぎないからです。
咳が出たら咳止め薬を飲み、頭が痛かったら頭痛薬を飲む、といったことを行っているだけで、咳や頭痛の原因を突き止めて適切な治療を行っているわけではありません。
いちばん大切なことは、あなたが今英語ができていない課題はどこにあるのか、今はどのようなレベルにあり、次は何をどのように勉強する必要があるのかをベストな方法で導いてくれることにあります。
まずはあなたの課題がどこにあるのか、きちんと見極めるようにしましょう!
【論文のリンク】
「Deyuan He, 2017, How to Cope with Foreign Language Speaking Anxiety Effectively? The Case of University Students in China」
http://e-flt.nus.edu.sg/v14n22017/he.pdf

学びのブログ編集部
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