短文の暗記で英語スピーキングを強化?

英語スピーキングをどうやって鍛えるか

ボードを見つめる男性

英語のスピーキングについて、日本人は特に苦手としている方が多い印象を受けます。

「同僚や友人に対して、一生懸命話しているつもりなのに、的確に伝わらず何度も聞き返されてしまう」といった経験は誰しもが少なからず持っているのではないでしょうか。

また、そのような状況を克服したいけれども、「結局、留学しないとだめなんじゃないか」「いくら練習してもカタコトのままでは」など、現状の英語学習のやり方に対する不安もよく聞かれます。

 

この記事では、2013年に発表された東京都市大学の北垣郁雄教授の研究結果に基づく、英語スピーキングスキルを向上させる具体的な方法を解説していきたいと思います。

学習方法が定まらないうちは、どうしても本腰を入れて取り組む勇気が出ないものですが、以下で説明する検証済の方法を参考に、自信を持って英語学習に取り組み、スピーキングスキルを向上させていきましょう。

 

とてもシンプルなトレーニング方法 「短文の暗記」

バットを構える少年

さて、一つの勉強法として、英語の文章を片っ端から暗記していくというやり方が挙げられます。

しかしながら、暗記したパターン以外の状況に、その内容が果たして応用できるのかどうかという疑念が残ります。

英文を暗記するというトレーニング方法と、英語をすらすら滑らかに喋れるようになるというゴールの間に、あまりつながりがなさそうだと感じる方もいることでしょう。

スピーキング力を強化したい場合、英文暗記よりも、「リズムやイントネーションを勉強したほうが…」と感じたとしても、不思議ではありません。

 

ところが、冒頭でご紹介した北垣教授の研究結果によると、「英語の短文を暗記することでスピーキングスキルが向上する」ということが実証されています。

北垣教授は複数の大学で、主に教育分野について長年研究をされている方です。

何故、このやり方で成果が挙がるのか、にわかには理解し難いですが、実際に学習者にどのようなことが起きたのか、以下で見ていきたいと思います。

 

北垣教授の検証で使われた英語学習のやり方は、とてもシンプルなものです。e-ラーニング形式で、学習者は

①画面に表示される日本語を口頭で英訳

②答え合わせをする

③正しい英文を覚える

というステップを繰り返します。

 

このトレーニングで使われた英語の短文はどのようなものでしょうか?

実は特に複雑なものではありません。短文の例も公開されていたので、以下の通り転載します。

 

“This house is designed solid. It will hold up well against earthquakes.”

“Smoke not only disrupts your vision, it can prevent you from normal breathing. In case of fire, you must escape promptly without getting caught up in smoke.”

 

使われている単語や構文という点において、それほど難しいものではないことが分かると思います。

 

学習者はこのトレーニングで使われる英文とは異なる、英語スピーキングテストをトレーニングの前後に受けて、ビフォーアフターを比較しました。

それによると、75%の学習者において、スピーキングスキルの向上がみられたとのことです。

 

ここでいうスピーキングスキルの向上とはどのようなものでしょうか。先ほどの検証においては、

“Fluency: How much fluent is the oral response?”

(口頭による回答の流暢さは?)
“Similarity: To what degree is the response similar with the correct answer in their contents?”

(回答内容はどの程度正解に近いか?)

の観点から、ネイティブスピーカー3名により評価されました。

学習者は、これら両方について改善がみられました。

短文を暗記すると流暢さも含めた改善が起きるというと意外なようですが、明確に成果として現れたということです。

 

検証結果からわかる効率的な学習法

ノートパソコンを開いて見せる女性

さて、この検証から得られる、英語スピーキング能力強化に向けた勉強のやり方に関する示唆は何でしょうか。

 

一つ目は、英語を実際に口に出してみて、間違いがあれば訂正し、正しい英文を確実に覚えることが重要という点です。

ネイティブスピーカーと会話していると、何となく鍛えられた気がするのも確かですが、このやり方では英語の間違いが訂正されず残り続けるリスクがあります。

やはり何らかのフィードバックが得られる状況を作る必要があるでしょう。

 

二つ目は、海外に行くことは必須ではなく、やり方が間違っていなければe-ラーニングでも効果が期待できるという点です。

先述のトレーニングで必要なのは、パソコンと学習用のソフトウェアだけです。

英語を流暢に話せるようになりたいけれど、海外に行って学ぶとなると予算的に厳しい、という方にとっては朗報ではないでしょうか。

 

三つ目は、やはりある程度まとまった時間を投入する必要があるということです。

先述のトレーニングでは、学習者は合計300分のトレーニングを2週間にわたって行ったとのことです。

二、三日ちょっと練習したぐらいで、目覚ましい成果を期待するのは難しいでしょう。

一方で、これ位時間を投入すれば成果が見える、ということがすでに検証済というのは、頼もしいことではないでしょうか。

 

まとめ

この記事のご覧の皆さんの中には、大学入試に向けた勉強や、TOEFL対策などで例文の暗記を黙々とこなさなければならない方もいらっしゃるのではないかと思います。

ただ記号を覚えるように英文を頭にインプットするのは、とても単調で勉強のモチベーションの維持が難しくなりがちです。

そんな時に、英文の暗記がスピーキング能力の向上にも役立つということを是非思い出していただければと思います。

英文の暗記を、実際に使える英語を身につける過程だと思えば、より勉強のモチベーションも沸くのではないでしょうか。

 

ここでご紹介した学習法は、必ずこうでなければならない、というものではなく、数ある有効性が期待できる学習方法のひとつにすぎないと思います。

すべての方について必ず結果が約束されている方法があれば理想的ですが、現実にはそれぞれ克服すべき課題が異なり、最も効率的なアプローチも異なってくることでしょう。

この記事が、皆さんの英語学習の、次の一手を考える一助となれば幸いです。

 

出所:Ikuo Kitagaki (2003) “Effect of English Short Sentences Memorization on the Speaking Skill and the E-learning of English”

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短文の暗記で英語スピーキングを強化?
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短文の暗記で英語スピーキングを強化?
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スピーキングスキル向上のため努力していても「英語のスピーキングが苦手」という日本人は少なくありません。成果を実感できないやり方では、英語学習のモチベーションが低下する恐れがあります。ここでは、英語のスピーキングスキルを向上させる具体的な学習方法を紹介します。
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