【リスニング対策】『速聴』勉強法でTOEFL(iBT)高得点を取るコツ
文部科学省は将来世界で活躍するグローバル人材の育成のため、2013年10月より「トビタテ!留学JAPAN」を開始し、民間企業などと協力して、熱意のある若者の海外留学を後押しするキャンペーンを推進してきました。
その成果もあってか、海外留学という選択肢は若者にとって非常に身近なものとなりました。
それに伴い、留学に必要な英語能力テストであるTOEFL(iBT)やIELTSを受ける学習者も年々増加傾向にあります。
そこで今回はTOEFL(iBT)受験者に焦点をあて、関西福祉大学の研究チームで実証されたリスニングを効果的に強化するための『速聴』の具体的な勉強法と、著者オススメの書籍をご紹介します。
TOEFL(iBT)をオススメする理由
「IELTSのほうが試験時間は短く、スピーキングテストも対面式なので機械的な採点ではなく、ジェスチャーなどパフォーマンスも評価される」
このような理由から、IELTSを受験する学習者が多くなっています。
しかし、なぜTOEFL(iBT)をオススメするのか、その理由をリスニングセクションの観点からご説明します。
IELTSは当初ヨーロッパの大学で主流の英語能力テストでしたが、近年ではアメリカの大学でもTOEFLに代わる英語能力証明テストとして受け入れられています。
しかしIELTSよりTOEFLの方を好む受験者は、
「リーディングセクションの語数が多い」
「ライティングが筆記なのでケアレスミスが多い」
「会場や試験頻度が少ない」
などの理由でTOEFLを選ぶ傾向があります。
また、一番の障壁になりうるのが「IELTSの音源のアクセントはアイルランド、イギリス、スコットランド、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどバラバラである」という事実です。
アクセントで一度引っかかると、会話内容の理解度がガクンと落ちます。
このことからリスニングセクションではTOEFLの方が対策しやすいといえます。
リスニング対策が肝!TOEFL(iBT)で高得点を取れるワケ
そもそも、なぜリスニング対策を重要視しなければいけないのか。ここからはその理由についてご説明します。
【日本人の訳読中心学習◯ 会話中心学習×】
日本の英語学習では「読む・書く」に重きが置かれ、「聞く・話す」に重点的な学習を積極的に行ってきませんでした。
最近では外国人を雇用し、小中学校の英語の授業を担当させるなど、英語教育に「聞く・話す」の要素を取り入れようとしています。
しかし、訳読中心学習の親世代の影響や、日常生活に英語を使用する環境そのものが整っていない状態では、TOEFLなどの英語能力証明に役立つレベルまでのリスニングやスピーキング力は身につきにくいと考えられます。
【テスト構造】
二つ目に「TOEFL(iBT)のテスト構造」そのものが原因となって、日本人のTOEFLのスコアを底上げできていないといった背景が考えられます。
下表はTOEFLテスト日本事務局が掲載しているTOEFL iBT® テストの構成・問題数・時間配分・スコアです。
(https://www.cieej.or.jp/toefl/toefl/format.html/出典元:TOEFL® テスト日本事務局 TOEFL iBT® テスト学習者用Webサイト)
スピーキングとライティングセクションにおけるIntegrated tasksに、リスニング→スピーキングの手順があります。
表の通りだと、スピーキング+ライティング10問のうち7問がリスニング力を必要とする問題となっています。
つまりリスニング能力ははリスニングセクションのみではなく、他のセクションの大半で必要とするスキルであることがわかります。
速聴リスニングで『慣れ』を作る
では、ここから効果的なリスニングの勉強方法についてご紹介します。
今回の記事で紹介する勉強法は『速聴』です。
2009年に発表された関西福祉大学の上野教授の研究結果によると、日本語母国語話者がTOEFLで高得点を取れない理由として「意味を理解する上での英文の処理速度」が問題であると述べています。
英文の真ん中や後ろから訳し上げていくような翻訳主義の勉強では、瞬間的な理解や発話を必要とする日常生活での実際のリスニングやスピーキングには対応できないため、テストで高得点が取れないと推察しています。
速聴がリスニング力アップに効果があるのかを上野教授は実験によって証明しようとしました。
内容として、まず英語を専攻としていない大学生62名を2つのグループに分け、片方には1.4倍速、もう片方には通常速度の音源ファイルで学習させて、リスニングテストの正誤を判定するというものです。
その結果、1.4倍速で学習した学生グループの方が、通常速度で学習した学生より高得点を獲得しました。
実験ではリスニングができない原因として、英語音源に対する慣れと頭の中で文章構成を構築する処理速度が上がったことが要素だと考えられています。
このことからもリスニング勉強法に『速聴』を取り入れることは大変有効だと考えられます。
一度1.4倍速で聞いてみて英文の音声に対して慣れを構築していきましょう。
本当にオススメしたいリスニング教材3選!
実際に『速聴』の効果はわかったけど、どうやって勉強すればいいかわからない。
といった学習者にオススメしたい書籍が以下の3つです。それぞれ目的にあった使い方を心がけてみてください。
【TOEFLテストリスニング問題190】
「【CD3枚付】TOEFLテストリスニング問題190 4訂版 (TOEFL(R)大戦略)」 喜田 慶文 (著)
「TOEFLのリスニングテストってどんなもの?」といったまだ受験経験がない方は、この本でまず勉強することをオススメします。
目的としては「まずTOEFLリスニングテストの概要と傾向を知る」ことにあります。
CD3枚付きの豊富な音源量とリスニングセクションに特化した解説で、TOEFL初学者向けに作られています。
他にもシリーズ化されたものでリーディング、スピーキング、ライティングとあるのでのぞいてみてください。
【必ず聞き取れるTOEFLテストリスニング】
「必ず聞き取れるTOEFLテストリスニング」 河野 太一 (著)
「単語だけで聞き取り、文章として聞き取ることができない!」といった方にはオススメです。
この本は「河野メソッド」というやり方でリスニングの強化を図る目的で作られています。
リスニングを勉強しているうちに必ずぶつかる壁として「単語だけが入ってきて、文章が掴めない、時間的制約もあって結局全体が掴めない。」といった問題にぶつかると思います。
そこで単語を聞き取っていくという従来のリスニング方法を脱して、文法を頭の中で瞬時に整理し、「構文」としてを聞き取り、「論理」をつかむことが目的となっています。
方法として「シャドーイング」「暗唱」「音読」を組み合わせた練習法は効果絶大です。
【TOEFL TEST 必須英単語5600】
「改訂新版 TOEFL TEST 必須英単語5600(CD BOOK)」 林 功 (著)
こちらは「速聴」と「河野メソッド」両方を継続して試していくのに大変いい書籍となっています。
というのも1ページ完結で、それぞれがハイレベルでアカデミックな内容となっており、内容把握を行うのには相応の英語力とリスニング力を必要とするからです。
速聴は最終の仕上げとして、まず文章として聞き取ることができないという方には、河野メソッドをこの本で試してみてからでもいいと思います。
TOEFLによくありがちな「なんじゃこりゃ?」といったような難しい単語もたくさん出てきており、アカデミック単語対策の勉強にもなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回お伝えしたい一番大切なことは、TOEFLやIELTSでも「リスニング学習は日本の英語教育を受けてきたものには大変時間がかかる」ということです。
相応の時間を覚悟して試験対策に励んでください。
リスニングは一朝一夕で身に付くものではありません。やはり「慣れ」の部分が大きいと思います。
でも『速聴』はその慣れを加速させる最適な方法だと実験結果を含む論文からも理解いただけたのではないでしょうか。
これまで日本語で授業を受けてきて、日常生活でも滅多に英語を使わない日本人には文法や異なるアクセントを使う「第二言語」の習得は相当困難なものであることは間違いありません。
しかし、筆者自身として感じることは第二言語習得について大切なことは、それぞれの人で課題が異なるので、一つ一つの習得の方法については知見があるけれども、いちばん大事なのはその人にとってそれが課題なのかどうかをきちんと見極めること、だと思っています。
それぞれの目的、課題をしっかり整理して勉学に励んでください。
<参考>
Teruo Ueno (2009) “Why are the TOEFL scores of the native speakers of the Japanese language low? Its possible reasons and a suggestion on how we learn English” The Journal of the Department of Social Welfare, Kansai University of Social Welfare, 12, 157 – 166
URL: http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I10215804-00

学びのブログ編集部
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