不登校は悪いことなのか?

 

小中学生の不登校児の数は年々増加し、2016年には13万人を超えたと文部科学省は報告しています。[1]

日本では、不登校児の問題が諸外国と比べて問題視されています。不登校の原因についても、精神科医だけでなく海外の研究者も意見を述べています。

 

確かに学校に通うことは当たり前のように思われます。しかし本当に、不登校とは悪いことなのでしょうか?

今回は、不登校の問題について考えてみたいと思います。

 

家族主義の崩壊が生み出した不登校

 

不登校は、学校に行かずに、家で閉じこもる現象です。かつては日本固有の問題と考えられてきましたが、韓国でも同様の現象がみられます。またイギリスやドイツでも、不登校の子供がいるという報告もあります。

 

とりわけ日本で不登校が問題視されているのは、その数が諸外国と比べて多いからだと思われます。

産経新聞の情報によると、中学生の13.5人に1人は不登校児だそうです。[2]つまり、クラスに1人は不登校の中学生がいることになります。

 

ところがこれだけ不登校が日本で問題視されているにもかかわらず、不登校は風邪や鬱といった病気とは違うと、医者は考えています。

なぜなら、風邪や鬱などと違い、不登校は薬を与えたり治療をしたからといって治るとは限らないからです。

 

諸外国と比べ、日本に不登校が多い理由は何でしょう。

 

もともと日本では家族主義で世の中が回っていました。家族主義というのは、一世帯に親子だけでなく祖父母も同居するといった風に、家族がまとまって生活するシステムのことです。

日本が家族主義であった時代には、親が農民ならば子供も農業を継ぐという風に、親の仕事を長男が引き継ぐのが普通でした。一方次男以下の子供は別の家に養子に出されるか、丁稚奉公、つまり働きに出されていました。

 

ところが日本でも鎖国が終わり、欧米の教育や生活体系が輸入されました。その結果、日本の家族主義は崩壊していきました。社会の分業化や核家族化により、親の仕事を引き継ぐのが普通ではなくなりました。

 

不登校児になったからといって、学校では面倒をみてくれません。基本的には、家の問題だからです。家族主義が採用されていた時代ならば、祖父母が面倒をみることもできたでしょう。

また不登校になっても、親の家業を継げるので、学校に行かないことがそれほど重大な問題にはつながらないでしょう。

ところが家族主義が崩壊すると、不登校の子供の面倒を誰もみてくれなくなります。

 

加えて、不登校は病気ではないのも、この問題を一層深刻化させます。風邪ならば薬を与えるなど治療できますが、不登校児は学校に通わない人という意味でしかありません。

 

にもかかわらず、不登校児が正常ではないというレッテルが張られます。

ここには統計的な思考があります。皆さんも「平均」をご存知でしょう。身長や年収、学力が平均だといいますよね。不登校というのは、この「平均」から逸脱しただけなのです。

つまり、学校に通っている「平均」的な学生ではないだけの話です。問題は、統計的な逸脱が、さも異常(病気)であるかのように語られることです。

 

単なる平均からの逸脱ですので、現状の学校ではうまく扱えません。不登校児は異常な子供でもなんでもなく、偶然生まれたとしかいえないのです。

平均的な中学生にする努力は難しいです。成績の悪い子供を平均に近づけるのが、難しいのと似ています。

 

不登校児を救う欧米流の方法

 

では、なぜ欧米では不登校児が問題視されないのでしょうか。一例として、ドイツの不登校児への取り組みをみてみましょう。

 

ドイツの場合、不登校になった中学生に個人教師を派遣し、学校の先生の代わりに教育を受けられるシステムになっています。[3]

学校に子供を通わせないと罰金など非常に厳しいのですが、その一方で不登校の場合には、「自律」のためのサポートを受けられます。

 

「自律」というのは、一人立ちすることです。自分で物事をしっかり判断できるようになり、お金を稼ぎ、生活できるようになることです。学校に通う子供であれ不登校児であれ、自由が尊重され、個人の意思で物事を決めることです。

海外では親は子供に遺産を残さないといわれていますが、大人になると自分のことは自分でするという思想が根づいているからでしょう。

つまり不登校であるか学校に通うかが問題なのではなく、自律した大人に成長させることが大前提になるわけですね。

言い換えると、「自律」と「自由」という考えが欧米では個人にしっかりと根づいているのです。

 

日本の不登校の話に戻すと、不登校児を平均に戻すのではなく、平均外の子供が自律していけるような仕組みが必要になるのではないでしょうか。

 

日本流で不登校の問題を解決できるか?

 

面白い取り組みにカドカワの川上量生会長の試みがあります。不登校児にプライドをもたせ、自我を確立することを目的とした学校を設立しました。

川上氏によると、通信教育の延長であるとこの学校を位置づけています。

ドイツで不登校児の子供に個人教師をつけるという話がありましたが、川上氏の学校はそれと非常に似ています。

とくに周りに自分と同じような不登校を経験した子供が多いことも、自分が決して異常な存在ではないと気づかせるきっかけになるでしょう。

つまり自分のペースで自律を促すのも、一つの方法といえるのではないでしょうか。

 

まとめ

 

不登校は決して日本だけの現象ではありませんが、不登校児の数はやはり多く、問題視されるのは致し方ないでしょう。

しかし不登校であることは、決して悪いことでも異常なことでもありません。誰にでも起こりうる現象であると受け止め、自律することを芽生えさせることが重要ではないでしょうか。

 

今回はそのような取り組みとして、ドイツの個人教師の事例や、川上氏が創設した高校の話をしました。多様な子供たちがより豊かに生きていける社会へ移行しているのではないかと思います。

 

[1] 平成28 年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(確定値)について

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/02/__icsFiles/afieldfile/2018/02/23/1401595_002_1.pdf

[2] 不登校の児童生徒数、過去最多の13・5人に 1千人当たり 友人関係や家庭に不安

https://www.sankei.com/life/news/171026/lif1710260045-n1.html

[3] ドイツの不登校問題への対応

http://www.newsdigest.de/newsde/column/kosodate/4812-32/

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小中学生の不登校児の数は年々増加し、2016年には13万人を超えたと文部科学省は報告しています。[1] 日本では、不登校児の問題が諸外国と比べて問題視されています。不登校の原因についても、精神科医だけでなく海外の研究者も意見を述べています。 確かに学校に通うことは当たり前のように思われます。しかし本当に、不登校とは悪いことなのでしょうか? 今回は、不登校の問題について考えてみたいと思います。
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