【小学校教諭がこっそり教える】音声英語教材の選び方とおすすめ教材
「聞くだけで英語が話せるようになる」「たった〇日でネイティブ並みの英語力が身に付く」
テレビのCMやインターネットの広告では、このような聞こえの良いキャッチフレーズが飛び交っています。
しかし、本当に聞くだけで英語が上達するのでしょうか。
筆者はこれまで小学校で英語教育に携わってきました。
ここでは、小学生向けの音声英語教材の特徴を紹介し、小学生が本当に英語を身に付けることができるおすすめの音声英語教材を紹介します。
音声英語教材とは
「毎日〇分聞くだけで、お子さんの英語力がみるみる向上します」
最近、こうした広告をよく見かけますが、果たして本当でしょうか。
そもそも音声英語教材とは、英語のフレーズを繰り返し聞くことで英語の音に耳を鳴らしていき、英語力を鍛える教材です。
「あのプロゴルファーの〇〇も愛用の…」などと言う広告と口コミで、大人の間で広がったものもありました。
近年では、そうしたCDを使った音声英語教材に小学生向けの教材も加わり始め、にわかに脚光を浴びています。
しかし、本当に聞くだけで英語を話せるようになるのでしょうか。音声英語教材で学ぶことのメリットとは一体どのようなものでしょうか。
音声英語教材で学べること
結論から述べると、残念なことに、音声英語教材を聞き流しているだけでは小学生は英語を話せるようにはなりません。
一部には英語を話し出す子どももいるかもしれませんが、ごく一握りの天才と言われる子どものみです。ほとんどの子どもはCDに出てきた英語のフレーズを覚えて、口ずさむ程度が関の山でしょう。
しかし、この「出てきた英語のフレーズを口ずさむ」ことに大きな意味があるのです。
英語を口ずさむことができるということは、英語を聞き慣れているということです。
英語を聞き慣れていることのメリットとは、次のようなものがあります。
①英語の発音を聞き分けることができる。
一般的に、英語を第二外国語として習得しやすいのは11歳頃までといわれています。
その最大の理由が耳です。
子どもが聞き取れる音の周波数は大人よりも広く、英語の音を聞き分けることに適しています。大人には難解な「th」の音や「r」と「l」の音の聞き分けも、小学生くらいまでは聞いたままに認識することができるのです。
音声英語教材を繰り返し流し、英語を聞き慣れることで、子どもたちはこうした発音の違いを自然と聞き分けることができるようになるのです。
②正しい文法を知ることができる。
英会話教室などでネイティブの先生と話すことは、生きた英語、実践的な英語の習得につながります。しかし、それが正しい英語であるとは限らないのです。
日本人が日本語を話す時でも、わずかな文法の誤りはよくあることです。また、人によっては若干の方言が含まれることもあります。
それと同様、英語のネイティブの先生でも、間違った言い回しをしていたり訛りがあったりすることがあります。
その点、音声英語教材は文法的に正しく、発音的にも美しい英語が採用されています。
子どもにとって最初に学ぶ英語だからこそ、より美しい英語を聞き慣れる必要があると筆者は考えます。
どんな音声英語教材を選べば良いか
では、どのような音声英語教材を選べば、子どもにとって本当に力になるのでしょう。
まず、子どもたちが英語を口ずさみやすいよう、リズムにのっていることは大切です。
言葉を言葉として聞き続けることはむずかしいもの。それが、意味を理解できていない英語であればなおさらです。
リズムや音楽にのせることで、子どもたちが聞きやすくなります。
また、先に挙げたように、正しい文法や美しい発音が教材上で徹底されていることも大切なポイントです。
それらのことに加えて、筆者はさらに重視する点があると考えています。
リズムや文法、発音よりも大切なこと。それは、お父さん・お母さんが子どもと一緒に英語を学習することです。
「毎日〇分聞くだけで、お子さんの英語力がみるみる向上します」
こうした広告のキャッチフレーズの背景には、「お父さん、お母さんといっしょに毎日〇分聞くだけで…」という条件があると筆者は考えています。
そもそも、子どもだけで英語を毎日聞き続けることには無理があります。
子どもだけで英語教材の音声を聞いていても理解できず、やがて興味や関心を失ってしまうことでしょう。
お父さん・お母さんが一緒にCDを聞いてあげたり英語で覚えたフレーズを聞いて褒めてあげたりすることで、子どもも次の英語学習に意欲がわいてきます。
小学校の国語教材の音読も同じです。親御さんが子どもの音読をよく聞いている家庭の子どもは、国語教材の理解度がまったく違います。
やはり、子どもにとって親に褒められるということは意欲と成果につながります。
そこで、音声英語教材を選ぶ時には口コミにも注目してみてください。
「子どもが聞いていただけで英語を話せるようになった」というものではなく、「親目線で一緒に聞くことができる」といった口コミが書かれているような英語教材がおすすめです。
実際にお父さんやお母さんが聞いてみて、おもしろいと思えることも大切です。
おすすめの音声英語教材
以上のような、英語のリズム、正しい文法と美しい発音、親が一緒に聞けるというポイントを踏まえた、おすすめの教材を3つ紹介します。
アルク エンジェルコース
対象 : 乳児~3歳児
価格 : 31,320円
全6冊のブックレットにCDが2枚ずつ入った12枚の音声英語教材です。CDの他にテキストが無料で入っています。
各CDには手遊び歌と日常会話、名作童話の英語版が収録されているのが特徴です。
日常会話は子どもがいる家庭のよくある風景を切り取ったもので、小学生以下の小さな子どもも興味をもって聞くことができるでしょう。
筆者が特にこの教材をおすすめするポイントは、名作童話の英語版と手遊び歌です。
CD教材の英語で聞いた名作童話を、ぜひ日本語の本でも読み聞かせしてあげてください。英語と日本語どちらでも理解させることで、普段の読み聞かせが立派な英語教材に早変わりです。
ホームページにも親子で一緒に聞き、学習している口コミが掲載されています。
もう一つ、手遊び歌はリズムに合わせて簡単な英語を繰り返し聞くことができます。
これはまさしく小学校の英語活動で行っている、リズムに合わせて英語フレーズを覚えるチャンツ活動と同じです。
この教材では早期の英語学習を行うとともに、今後広がるであろう小学校での英語の授業も先取りできるのです。
対象年齢が3歳までとされていますが、小学校以上の子どもにも十分有効です。
HAPPY ENGLISH
https://www.ice-english.com/he/
対象 : 5歳~
価格 : 29,800円
3冊のブックレットにそれぞれ4枚のCDと無料のテキストがついています。
この音声英語教材は、ネイティブによる発音とリズムを重要視しています。
大人になってから英語を聞いた時、英語が音の塊となって押し寄せてくる感覚に陥ります。それもそのはず、一語一語が聞き慣れない発音で、猛烈なスピードで話されるのですから。
「HAPPY ENGLISH」は、子どものうちからゆっくりとしたスピードかつネイティブの発音で英語を聞き、英語の音に慣れさせるための音声英語教材です。
日本人がゆっくりと英語を話しても、日本語の発音をつかってゆっくりと英語を話しているだけになりますが、この教材では英語のリズムや語感を保ったまま、ゆっくりとした英語を聞き慣れることができるので効果的です。
また、「HAPPY ENGLISH」の教材は聞くだけでなく話すことも重視しているので、各フレーズのあいだには練習するための間があります。
そこで聞いた英語を真似たり教材に合わせて応答したりしながら、話す力も鍛えていくのです。
子どもが興味をもって学習することができるテキストと一緒に合わせて学習がすすむことでしょう。
7+バイリンガル
https://www.shichida.co.jp/store/7plusbilingual/
対象 : 5歳~
価格 : 29,800円
幼児教育に取り組む七田式教育というのをご存知でしょうか。
七田式教育は親と子のつながりを大切にしながら、子どもの可能性を幼児教育の段階から引き出そうとする教育メソッドです(詳細はhttps://www.shichida.co.jp/about/action/)。
その七田式教育が独自の右脳教育プログラムを応用し開発したのが「7+バイリンガル」という英語教育教材です。
「7+バイリンガル」は14枚のCDとテキストの他に、子どもが興味を持てるよう、無料のぬりえ教材などが収録されています。
「7+バイリンガル」の特徴は、英語を聞くステップです。
まず、レッスンに入る前に日本語でレッスンの内容を聞きます。
そして、次に3倍速の英語でレッスンの内容を聞きます。
その後、通常の速さでレッスンを聞き、最後に自分でも英語を話してみる流れになっています。
七田式によると、3倍速で聞くことで右脳の活性化につながるそうです。その理論は私にはわかりませんが、小学校で同様の実感をしています。
筆者が勤務していた小学校では、毎日速いスピードで計算練習と国語教材の音読に取り組んでいました。
これらは計算力の定着や国語教材の理解、集中力の上昇などにつながっていたため、通常にない速さで学習することには何らかの効果があると考えています。
そうした七田式メソッドを取り入れた「7+バイリンガル」も、おすすめの教材の一つです。
まとめ
CDをつかった音声英語教材について紹介しました。
こうしたCDを聞き流して英語を学習することは、子どもの最初の英語環境をととのえる上でとても重要です。セットで付いてくる無料テキストなどを合わせて使えば、子どもの意欲はますます高まることでしょう。
ただし、子供のやる気を引き出すには、お父さん・お母さんも一緒になって英語を学ぶことが大切です。筆者は小学校での経験により、それを実感しています。
CDを聞かせて終わりにするのではなく、ぜひ、お父さん・お母さんも子供と一緒に英語を聞いてあげてください。

moto
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